佐々木ライフハック

~慶通生の備忘録を綴る~

【書評】「空腹」こそ最強のクスリ/青木厚 ー 今話題の「半日断食」発祥の書をご紹介

f:id:Taichi_Sasaki:20210307164018j:plain

【書評】「空腹」こそ最強のクスリ/青木厚

基本情報

書籍紹介

 ・タイトル:「空腹」こそ最強のクスリ

 ・著者  :青木 厚

 ・出版  :アスコム

 

目次

 ・はじめに

 ・第一章 「一日3食しっかり食べる」「空腹な時間を作る」どちらが長寿と健康をもたらすか

 ・第二章 無理なく「空腹」を作り、身体を蘇らせる食事法

 ・第三章 「糖」がもたらす毒を、「空腹」というクスリで取り除く

 ・第四章 「空腹力」を高めれば、これだけの病気が遠ざかる!

 

要約

本書は”糖尿病”や”高血圧”、”脂質異常症”などの生活習慣病を専門とする さいたま糖尿病クリニック あおき内科医院長であり、ライザップの医療監修者でもある青木厚氏によって著されている。

表紙にもある「半日断食」というのは「1日の半分の時間を断食する」(睡眠を8時間とした残り16時間の半分の8時間を断食)というものであり、これによって「オートファジー」を作用させて細胞が蘇るという裏付けをしている。

本書内でオートファジー

「古くなったり壊れたりした、細胞内のタンパク質を集め、分解し、それらをもとに、新しいたんぱく質を作る」

とされており、またそこで「ミトコンドリア」の働きも深く言及されている。

ミトコンドリアは食べ物から取り出した栄養と、呼吸によって得た酸素を使って「ATP(アデノシン三リン酸)という、細胞の活動に必要なエネルギーを作りだす動きをしており、それらが新しくなることで細胞や組織、器官の機能が活性化し、病気になりにくく若々しい体になる。

現代の常識になりつつある「一日三食、成人男性は2,500~2,700キロカロリー」という食事をとった場合、一日の中で『消化に関わる臓器が休む時間』は一切の皆無。この状態をくり返す事で胃腸が疲弊し、「胸やけ」「胃もたれ」「食欲不振」が起こりやすくなり、疲れやだるさ、肌や髪のコンディション悪化などの症状を引き起こす。食事の後に異様に眠くなったり、疲れたり、だるくなったりする症状があれば、胃腸の不調で血糖値が慢性的に高くなっている可能性があると言える。また食べ過ぎによる弊害は他にも多数存在し、「必要以上の活性酸素の増加」や「中性脂肪やLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)の増加」、「内臓脂肪の増加」等が挙げられる。

これらの症状を引き起こす「現代の食生活」を改め「オートファジーが機能する食事法」に変える事で、多くの健康的リスクを回避できる。また「空腹の時間」は週に1回から作るだけでも効果を得る事ができ、無理せず何より長く続けることが最も重要になってくる。生活スタイルに合わせて食生活を改善する事で徐々に空腹感にも慣れが生じ、いずれ空腹中のストレスは感じなくなる程。そしてその生活に慣れてきたら、更に休日で「24時間の断食」を行う事を推奨している。

またこのオートファジーを行うデメリットとして「筋力の低下」を上げており、特に高齢者などは生活に支障が出る事がある。そのため「半日断食」を行う場合は、ある程度の日常的運動を意図的に取り入れる必要がある。ただこの運動は1日20分ほど歩くだけで賄える運動量であり、日常の動き、家事を行う中で筋肉を意識的に動かすだけで補填が出来る。

空腹時間中も「ナッツ類」や「生野菜サラダ」「チーズ」「ヨーグルト」等の食事は制限する必要が無く、空腹感になれるまでは好きなだけ食べて良い。それらを続けていると徐々に空腹への慣れが生じ、いずれ必要な食事の際のみ食べ物を口にするだけで生活が出来るようになる。

つまり本書で伝えたい事は、現在の食生活は本来人間が持っている「オートファジー」の機能を妨げ、食事からの栄養のみで効率の悪いエネルギーの循環をしている。そこから本来の機能を取り戻し、より健康に、より長く生きるために本来あるべき食生活を取り戻していくべきということ。また現代の食生活に慣れてしまった人がすぐに食事法を変える事は厳しい訳であり、少しずつ(週一~)でも胃腸に優しい、健康な食生活に戻していくべきと説いている。

 

感想

本書を通して

同じ「オートファジー」についての文献『SWITCH』と同時に読んだため、それぞれの本で主張が同じ点と、全く別の主張をしている点などがあり興味深いと感じました。(例えば本書では食事OKとされている乳製品は、SWITCHでは「避けるべき」とされている。)

本書では mTOR 等のオートファジーの対極にある働きは紹介されておらず、オートファジーの機能、そしてそれを機能させるために必要な空腹の時間、それらを無理なく実行するための食事プラン提案。このように「お医者さん」として患者にアドバイスをするような、優しさが感じられる文脈で本書は進みます。

書いてある内容はオートファジーの原理原則より、具体的行動策なので、読まれる方の目的に合わせて本を選ぶのが良いと感じました。細かい説明は先日の書評と同様になるので、昨日の記事もご確認頂けますと幸いです。

 

心に残った言葉

P47「本来、食事というのは「健康を維持するために、身体に必要な栄養分を必要なだけ取り込むこと」です。

これは自身も感じていた疑問だったので、ここで深く共感しました。血糖値の勉強をすると「ドーパミン(脳内報酬系)」や「β-エンドルフィン(脳内麻薬)」という物質をよく目にします。これらは欲求が満たされたり満たされることが分かったときに分泌され、人に快楽を覚えさせる物質ですが、これらの影響が強すぎると依存性や中毒性が増すと言われています。そして糖質は、このドーパミンとβ-エンドルフィンを増やす事が分かっている成分です。

そのため、今身体が欲している栄養分なのか、または快楽機関が欲している糖分なのかを一旦食欲を感じた時に考える習慣をつけてから、無駄に糖質を取らずに過ごせるようになりました。これを非常に分かりやすく表現して頂いている文章なのでご紹介です。

 

P111「特に最初のうちは、長年の習慣から、少しでもお腹が空くと、つい何かを食べたくなってしまうこともあるでしょう。」

このような文脈での書籍をお探しであればぴったりだと思ったのでご紹介です。患者さんに寄り添って語られる口調のため、非常に読みやすい書籍だと感じます。

またこの一文から感じたもう一つの側面が「少しでもお腹が空くと、つい何かを食べたくなる」という部分で、まさに現代の人が食べ過ぎになる原因であり、すぐにでも食べ物が手に入る世の中を作っておきながらあるものは糖質だらけという世界を俯瞰してみると、食品メーカーはどこまで知っていて、どのような意図で作っているのかが凄く知りたくなります。(当然、糖質を使って笑顔にしたいや、幸せにしたいという思いもあり、その裏側に何があるのかを知りたい。)

 

P116「空腹力が身に付くまでの短い期間であれば、缶コーヒーや、コーラをはじめとする甘い炭酸飲料などを飲んでもかまいませんが、できれば人工甘味料を使用した、ゼロカロリーのものをおすすめします。」

SWITCHではタブーとされた「ゼロカロリー商品」をお勧めしている文章です。ただ注意点は、あくまで「空腹力が身に付くまでの短い期間」としている点。著者もゼロカロリー食品の危険性を熟知した上で、一時的に活用するという意味で言っているはずです。こういった横道の分析も本書では行わないため、それもまたリズミカルに読みやすい本になっている要因かと思います。

 

P145「みなさんは、茶碗一杯の白米(約150g)に、どれほどの糖質が含まれているかご存知ですか?

 

答えは、約50g。

 

これは、スティックシュガー約17本分に相当します。」

衝撃的な文章ですが、確かにその通りですよね。それに丼ものやカレーライスなどになると糖質は2倍以上になると著者は言っています。そう考えると食卓に並ぶ食品全てがスティックシュガーに見えてくるほど糖質が気になるようになります。毎日の食事やコンビニで買ったジュース、夜のおつまみ等でそれはもう大量の糖質を取っていることが分かる文章です。

 

P178「日本癌学会の発表では、がんが発生する主要な原因は、たばこ(30%)と肥満(30%)です。肥満にならないということは、たばこを吸わないのと同じほど重要なのです。

ここも知ってはいるものの、数字に表されると驚くものになります。たばこと肥満が同じくらい危険というのはどれほどの人が認識しているかが気になります。

 

私の行動変化

・昨日の記事と同じ内容

 ⇒ 改めて「食生活の改善」の必要性を感じました。特に「糖質カット」においては緊急的に行っていき、人生100年時代を出来るだけ健康にアクティブに生きられるように今から沢山仕込みを行っていこうと思います。

 

最後に

 昨日の記事と同じ「オートファジー」についての文献でしたが、それぞれ出版のターゲットが違う為、口調や理論の深さが全く違い、読み比べがとても楽しくできました。単純に「健康体になりたい」や「理論など細かいことは興味がない」と言う方は本書を読むだけで十分にオートファジーを実行できるだけの知識量は身に付きます。

逆にどうせやるなら人体の仕組みやオートファジーの反対側にある「 mTOR とは何か」等、時間はかかりますが理解を深める事も出来ると思うので、昨日の記事もぜひ参考にしてみて頂ければと思います!

 

lifehack-sasaki.com

 

それでは本日も、最後までお読み頂きありがとうございました!

  

 
Written by 佐々木太一
1.2021.03.10
2.2021.08.31