佐々木ライフハック

~慶通生の備忘録を綴る~

国家一般職の年収は低いのか?新卒1年目の給料と手当の詳細も解説

「国家一般職の年収は低い」と感じている方は少なくないでしょう。実際、就職を考える際に給与面の不安は重要なポイントです。国家一般職の年収がどのような水準にあるのか、地方公務員や民間企業と比べて本当に低いのか、多くの疑問が浮かぶことでしょう。

本記事では、国家一般職の平均年収や年齢別の収入モデル、地方公務員や民間企業との比較、昇進による年収の変化など、具体的なデータを元に解説します。また、近年の年収引上げの動きや、各種手当の詳細も取り上げ、国家一般職の年収に関する評価もまとめています。

この記事を読むことで、国家一般職の年収が本当に「低い」のか、そしてその背景にある事情や今後の展望についても理解が深まるでしょう。

1. 国家一般職の年収は本当に低いのか?

1-1. 年収水準とその背景

国家一般職は、国の政策実行に携わる重要な役割を担っていますが、その一方で「年収が低い」というイメージを持つ方が多いのも事実です。実際のところ、国家一般職の年収はどうなのでしょうか?令和5年のデータによれば、国家一般職の平均年収は約666万円とされていますが、この金額には総合職の職員も含まれています。そのため、純粋な国家一般職のみの平均年収はこれよりやや低めと考えられます。

国家一般職の年収がこのように捉えられる背景には、年功序列による昇給や、業績による給与の変動が少ないことが挙げられます。また、国家一般職の年収は地方公務員や民間企業と比較しても大きな差はありませんが、特に若手職員にとっては給与水準が低く感じられることが多いようです。

1-2. 国家一般職が「低い」と感じる要因

国家一般職の年収が「低い」と感じられる主な要因として、昇給のスピードや業績反映の不十分さが挙げられます。年功序列の給与体系のため、若いうちは比較的低い給与水準に留まりがちです。特に、残業代を含まない基本給だけを見ると、民間企業に比べて劣っていると感じる場合が多いです。
さらに、ボーナスも大きな業績による変動がないため、成果を出しても大幅な増額を期待しにくいことも「低い」と感じる要因です。

2. 国家一般職の平均年収の現状

2-1. 令和5年の国家一般職の平均年収

国家公務員全体の平均年収は、令和5年度のデータによると約666万円とされていますが、これは国家一般職に加えて総合職や特別職なども含まれた数字です。国家一般職のみを取り出して考えると、約600万円前後となり、特に若手職員にとっては、年齢や役職によって年収に大きな差があります。

例えば、22歳の若手職員の平均年収は約390万円であり、これに残業代や各種手当が加算されることで実質的な収入が増加します。30歳代後半になると年収は約580万円前後に達し、50歳代で課長級の役職に就くと、1000万円を超える年収を得るケースもあります。

2-2. 年齢別のモデル年収

国家一般職では、昇進に伴って年収も徐々に増加します。22歳で係員としてスタートした場合、年収は約390万円ですが、30歳になると約480万円、40歳で約630万円、そして50歳で課長級に昇進すると約1070万円となることが一般的です。

一方で、地方勤務の場合は地域手当などが少ないため、同じ職位でも若干年収が低くなります。例えば、50歳で地方勤務の課長の場合、年収は約680万円程度です。こうした年収の推移を参考にすると、国家一般職の年収が徐々に上昇することがわかりますが、若手時代にはやはり「低い」と感じることがあるかもしれません。

3. 地方公務員や民間企業との年収比較

3-1. 地方公務員との比較:都道府県や市区町村別の違い

国家一般職と地方公務員の年収を比較する際、地域や自治体規模によって違いが生じます。例えば、総務省の調査によると、国家一般職の初任給は月収18.2万円、年収換算で278.5万円です。これに対して、都道府県レベルの地方公務員は月収18.7万円、年収289.9万円とわずかに高く、指定都市の地方公務員は月収18.3万円、年収283.7万円となっています。市区町村レベルでは、さらに若干の差があり、町村の公務員の年収は282.1万円といった具合です。

このように、地方公務員の年収は自治体の規模によって変動し、特に都道府県や指定都市などの大規模な自治体では国家一般職に比べて初任給が高く設定されることが多いです。ただし、国家一般職の年収が地方公務員と比べて極端に低いわけではなく、地域手当や超過勤務手当を含めた場合、その差はさらに縮まる傾向にあります。また、地方公務員でも自治体ごとの財政状況によって年収にばらつきがあるため、一概にどちらが高いとは言いにくい面もあります。

3-2. 民間企業との年収水準の比較

国家一般職の年収を民間企業と比較すると、大企業や中堅企業の水準とそれほど大きな差はありません。国家公務員の給与水準は、毎年民間企業の平均年収を基に調整されており、令和5年度の国家一般職の平均年収は約666万円です。これは、民間企業の従業員規模50人以上の企業と比較して大きな差がないことを示しています。

ただし、比較対象によっては国家一般職の年収が高く見えることもあります。例えば、従業員数が50人未満の中小企業やベンチャー企業の初任給と比べると、国家公務員の安定した給与水準が相対的に高く感じられる場合もあります。特に不景気の影響を受けにくい公務員の給与体系は、民間企業で景気の波に左右される年収に比べて安定性が高いという点で魅力です。このように、給与水準だけでなく、安定性も含めた年収比較を行うことが重要です。

4. 昇進による年収推移の具体例

4-1. 係員から課長までの年収推移

国家一般職の年収は、昇進によって大きく変動します。例えば、22歳で入職した場合、係員の年収は約390万円程度からスタートします。その後、30歳前後で係長に昇進すると年収は約580万円に達し、40歳になる頃には約630万円となります。最終的に50歳で課長級の職位に就くと、年収は約1070万円に達することが一般的です。

この昇進による年収の増加は、基本給に加えてボーナスや手当の影響を受けるため、実際の年収はさらに高くなる場合もあります。特に残業代が加算されることが多いため、実際の年収はモデルケースよりも高くなることが一般的です。

4-2. 地方勤務と本府省勤務の違い

国家一般職は、勤務地によっても年収に差が生じます。例えば、本府省勤務の職員は、東京勤務であるため地域手当が支給され、その分年収が高めに設定されています。本府省勤務の係員の場合、22歳での年収は約390万円ですが、これには地域手当(俸給の20%)が含まれており、地方勤務の職員と比べて高くなっています。

一方、地方機関で勤務する場合、同じ係員でも年収は約320万円程度に留まります。また、課長クラスになると、本府省では年収が約1070万円であるのに対し、地方勤務では約680万円と、約400万円もの差が生じます。これは、地域手当や業務調整手当などの違いによるものです。このように、同じ国家一般職であっても勤務地によって大きく異なる給与体系が存在します。

5. 新卒1年目の給与と手当の詳細

5-1. 大卒・高卒別の初任給

国家一般職の新卒1年目の初任給は、大卒か高卒かによって異なります。例えば、令和5年度のデータによると、大卒の場合は本府省勤務で月収24万円、年収に換算すると約390万円となります。一方、地方機関で勤務する大卒の場合は月収が21万円、年収は約330万円です。

また、高卒の場合も同様に、本府省勤務では月収20万円、年収約320万円となり、地方勤務では月収が17万円、年収は約270万円に設定されています。この初任給には地域手当や本府省業務調整手当(8,800円)が含まれており、勤務地や学歴に応じて差が生じるのが特徴です。

これらの初任給は、国家一般職として働く際の基本的な収入となりますが、残業代や各種手当が加算されるため、実際の年収はさらに増えることが一般的です。

5-2. 各種手当の内訳(超過勤務手当、住居手当など)

国家一般職では、基本給以外にもさまざまな手当が支給されるため、これらを考慮すると実質的な年収はさらに増加します。代表的な手当としては、超過勤務手当(いわゆる残業代)、住居手当、通勤手当、扶養手当などが挙げられます。

まず、超過勤務手当ですが、新卒1年目の場合、残業1時間あたりの時給換算で約1,500円が支給されます。仮に月30時間の残業をした場合、月5万円程度が加算され、年間にすると約60万円が上乗せされる計算です。さらに、住居手当も重要で、賃貸住宅に住んでいる場合は最大で28,000円の補助が受けられます。通勤手当は最大で55,000円まで支給され、家族がいる場合には扶養手当も支給されます。具体的には、配偶者がいる場合は月6,500円、子ども1人につき月10,000円(16~22歳の子どもにはさらに5,000円加算)、父母等の場合は月6,500円が支給されます。

これらの手当は、職員の生活状況に応じて変動するため、家族構成や住居形態により支給額が大きく変わることが特徴です。これらを加味すると、新卒1年目でも基本給以上の収入を得ることができ、生活を支える重要な要素となります。

6. 国家一般職の年収に対する評価

6-1. 業績反映の不十分さ

国家一般職の年収に対する一つの課題として、業績が給与に十分に反映されない点が挙げられます。国家公務員の給与体系は年功序列が基本となっており、民間企業のような成果主義的な昇給やボーナスの反映が少ないのが現状です。

成績評価によってボーナスの支給割合が変動する仕組みはあるものの、多くの職員は「優秀」評価であり、ボーナスの加算率は約119%に留まります。特に優れた成績を収めた職員は200%までの加算が受けられるものの、その割合は全体の一部に過ぎません。したがって、頑張って成果を上げても、すぐに大幅な昇給やボーナス増加が期待できないため、モチベーションの維持が難しいと感じることがあります。

このように、個人の業績が給与に反映されにくい仕組みは、成果を重視する人材にとってはやや不満が残る点かもしれませんが、その一方で、年功序列の安定感を重視する方には魅力的に映ることもあります。

6-2. 安定した給与のメリット

一方で、国家一般職の給与の最大のメリットは、その安定性です。景気の変動に左右されにくく、経済危機や不況の際にも給与が大きく減少するリスクが少ないのは公務員ならではの強みです。

例えば、コロナ禍の影響で多くの企業がボーナスの削減や給与の減額を余儀なくされましたが、国家公務員の年収は1%未満の減額で済みました。また、ボーナスの支給も安定しており、景気に左右されず一定の収入が保障される点は、長期的な生活設計において大きな安心材料です。

さらに、令和5年には若手職員を中心に初任給の大幅な引き上げが行われ、国家一般職(大卒)の場合、本府省勤務での初任給は22.9万円から24.3万円へ、地方勤務でも18.5万円から19.6万円へと改定されました。このように、若手の離職防止や人材確保を目的とした処遇改善の動きが進んでおり、今後もさらなる待遇の向上が期待されます。

このように、安定した給与と最近の待遇改善の動きを考慮すると、国家一般職は長期的に安定したキャリアを築きたい方にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。

7. 年収引上げの最新動き

7-1. 近年の初任給の引上げ

近年、国家一般職の初任給は大幅に引き上げられています。令和5年度には、33年ぶりとなる大幅な賃金改定が行われ、特に若手職員を中心に待遇が改善されました。たとえば、大卒で本府省勤務の場合、以前の初任給は月額22.9万円でしたが、これが24.3万円に引き上げられ、年収ベースでは約21万円の増加となりました。同様に、地方機関勤務の大卒者も18.5万円から19.6万円へと初任給が上昇しています。高卒者についても本府省勤務では月15.5万円から16.7万円、地方機関勤務では月15.5万円から16.7万円といった形で、幅広い層で初任給が改善されました。

この引上げの背景には、優秀な若手人材を確保し、早期離職を防ぐための取り組みがあります。近年、公務員人気が低迷する中で、国家一般職の待遇改善は、若者にとって魅力的な選択肢とするための重要な施策となっており、今後もこの傾向は続くと見られています。

7-2. ボーナスや基本給の改善動向

初任給の引上げに加え、ボーナスや基本給の改善動向も注目されています。例えば、令和5年度にはボーナス支給額の増額が行われ、以前の4.4か月分から4.5か月分に引き上げられました。これにより、年間で約10万円前後の増加が見込まれます。また、2年目以降の基本給についても、係員は2.8%~5.2%、係長は約1.0%の引上げが行われており、役職や経験年数に応じて給与が順次改善される仕組みが整っています。

こうした賃金の改善は、国家一般職が従来から持つ安定性に加え、給与水準が着実に向上していることを示しており、特に長期的なキャリアを重視する人にとって大きな魅力です。また、業績評価によるボーナスの変動も含まれますが、一定の業績評価に達することで最大200%の加算が可能となっています。これは、特に優秀な職員に対する報酬を手厚くするための制度で、従来の年功序列的な給与体系に加えて、努力や成果が報われる要素を導入する動きとして注目されています。

このような初任給やボーナスの改善動向は、今後も継続する可能性が高く、国家一般職の給与面での魅力がさらに高まることが予想されます。現在公務員を目指す方や、既に公務員として働いている方にとっては、このようなポジティブな変化を理解し、今後のキャリア形成に役立てることが重要です。