こんにちは、佐々木太一です。
「イノベーション」「変化型行動」「延長線上に無い未来」。最近耳にすることが増えた新しい言葉に沿って、実際に組織に落とすとどんな変化が起きるのか。また実現しようとしたときにどんな潜在課題が存在しているのか。色々思考錯誤しながら組織運営をしている中で、現状気付いているポイントを今回は共有したいと思います!
イノベーションが起こる条件
まずゴール時点の明確化です。どのような状態がイノベーションが起こる状態かを考えてみます。要素としては2つ。
イノベーションがおこる条件1 それぞれのプロジェクトが自主自立的に活動できる状態にある。
まず一点目が、何かイノベーションを起こすプロジェクトが立案された際、そのプロジェクトが自主自立的に活動できる必要があります。
自主自立的というのは、例えばチームメンバーの追加から、更には利益分配、また損失回収まで、全ての権限と責任がプロジェクトの手中にある状態のことを指します。
企業においてまずこの状態をつくることが不可能に思われるケースもあるのですが、これをクリアする方法の一つとして「プロジェクト予算」を組み込むことです。完全に譲渡は厳しくても、溶かして良い最大金額を予算に予め組み込み、自由に権限を譲渡できる金額を確立することがイノベーションを起こすために必要なことだと思います。
ここまでつくると、プロジェクトメンバーに「意思決定の権限」をもたせることができ、これこそPDCAのCを高速化兼良質化させるためのポイントになってきます。このPDCAの改善が汎用性が高く、持続性のあるイノベーションに繋がることが多いです。
イノベーションが起こる条件2 プロジェクトのゴール設定を定期的に見直す仕組みがある
こちらも絶対条件だと思います。2人以上の人が同じ目的に向かい続ける事は簡単な事ではなく、家族の事情、健康面の事情、または別プロジェクトからのお誘いなど、期日までに約束した結果を準備する上での阻害は常日頃起こると思います。それらをもし乗り越えられたとしても、そもそも1年前の約束をお互いに覚えている、また10人などになれば全員が覚えている事は稀であり、言葉の解釈も変わるはずです。そうなってくると元々の目的が達成されなかったり、最悪ペンディングすることも少なくないです。
それを回避するために、定期的な見直しが必要です。「我々はどこに向かっているのか」いわゆるアライメントを取ることでゴールを再度明確に認識すること。また、「今、どんな壁に当たっているのか」「今のペースは無理なく継続できそうか」こういった進捗やペースを確認できない状態では、『プロジェクトの崩壊』が起こる可能性が高まります。
それらを予め予測し、定期的な確認のタイミングをつくることで予防しておくことが2つめの条件になります。
イノベーションを起こす人の考え方
次にイノベーションを起こす人の考え方についてです。これは「どんなイノベーションを起こすか」という事ではなく、「起こしたいイノベーションはある、ではこれをどうやって起こす」というイノベーションが起きるまでのフローについて言及する章になります。
必要な考え方 コントロールしたいものを見失わないようにする
2人以上でチームを組む際、またそれ以上でチームを組む際は、必ずルールができると思います。またこのルールはプロジェクトへの熱意が強まる度に増えていく事が多いです。では、そもそもこのルールで管理したいものは何で、目的通りに作用しているかを考える必要が出てくる場面があります。
例えば、ある運送会社で「自社トラックの事故を減らしたい」という目的があったとき、「安全運転しましょう!」と会社に張り紙をしたり毎日朝礼で周知をしたとしても、あまり効果が出ないのでは?と思います。ただこれを、例えばバックミラーの横に家族の写真を飾ってみたり。そうすると安全運転する人が増える可能性がありますよね。
あとはペットを自分のところに呼びたいとき、慣れてる人は「名前を呼ぶ」、来ない人は「エサを使う」など、それぞれにあったルールを設定し、設定したルールが当初目的としていたものに繋がっているかを確認することが重要になります。
最終的に結果に繋がるのが日々の習慣で、行動を左右する要素の一つがルールにあると。ということは、人の思考を変えるより、そもそもルールで行動にアプローチしたほうが早くて正確である、ということですね。
どんな組織にも必要な基盤
最後に、上記条件と考え方が揃ったと仮定して、最後に必要になるポイントについてです。
基盤 人間関係の構築
一言でいうと「人間関係」ですが、この後因数分解します。この「人間関係」が構築出来ている組織は事業部間でのシナジーが生まれたり、ジョブローテーションがスムーズに行えたり、能力開発から適材適所への配置など、プロジェクトの進展を後追しする動きが大変取りやすくなります。
関係構築の要素1 お互いを「プロ」として扱う
関係構築で大切なポイント1点目は『お互いを「プロ」として扱う』ことです。この「プロ」というのはプロジェクトによって基準を決める必要があり、『最低限必要な能力と考え方を持っている』という定義が良いと思います。お互いがお互いの責任と信頼を持ち、それぞれが自分の責務を全うする状態です。この基盤があるからこそ「自由な発想」や「皆の意見」を取り入れたとしても得たい成果をブラさずに組織を運営することができます。
関係構築の用途2 透明性を保つ
ポイント2つ目は「透明性を保つ」です。透明性が無い組織において、全員がそれぞれの責務を全うできる状態を作る事は非常に難しいと思います。人間、やはり全員が善人では無いため、いくら信頼していても何かしら問題は起きます。またほとんどが私利私欲による人道外れた問題である事も少なくないはずです。だからこそ、そういう事が起きる前提で組織として対策をしておく必要があります。そのアプローチが「透明性」です。「給与」「特典」「福利厚生」「権限」など、トラブルが起きやすいポイントは可能な限りガラス張り化する事で人間関係の悪化を防げるのではないでしょうか。
更にここまで作りこむ
最後に、今までの施策を全て施した後に設置するべき機関についてまとめて終わりになります。
設置が必要な機関1 教育制度構築機関
「教育制度構築機関」とは、プロジェクト内で運用されている教育プログラムを定期的に見直す機関です。組織で成果を出すためには、組織に属する個々がそれぞれの成果を出せるようになる必要がありますが、それには「モチベーションを維持する仕組み」と「成長できる環境」が必要と、以前マネジメントについての記事で書きました。その教育制度が得たい成果につながっているのか、また市場から見た従業員の価値が上がっているか、常に監視する機関が必要です。
設置が必要な機関2 人事制度構築機関
「人事制度構築機関」は、プロジェクト内で行われている人事判断を客観的立場で管理する機関です。一番の存在目的は平等性の維持になります。人事制度に関しては「個人の報酬」へ直結する部分であり、結局全ての基盤です。「夢」や「希望」より「実利」に目が行くことは自然であり、そこを基盤構築しないと組織運営はできません。当事者であるメンバーが客観的に自分たちの制度を見直し、よりよいものに変えていく動きを作っておく事で、持続可能な制度に変化を続けることが可能です。
設置が必要な機関3 組織運営促進機関
最後に「組織運営促進機関」です。こちらは1の教育制度や2の人事制度が「実際に運用されているか」を確認する機関です。この期間は制度の見直しや修正を行う訳ではなく、①当事者が全行程を理解し再現できる状態にあるか、②実際に運用されているか、の2点を確認する役割です。
①②を行う背景は、実際に作った制度が運用されるには、制度の目的と実行方法を当事者が完全に理解する必要があり、またそれを実行する必要があります。これが行われた上で一定期間(通常2週間ほど)が過ぎた段階で結果の完了を行い、12の期間が修正をする必要があります。もし①②を行わなかった場合、制度が意図通りに活用出来ているか、実際に制度として動いているかが分からず、制度自体に問題があるかどうかが明確に分からなくなります。そうなると、組織の中で制度が効果を果たさなくなり、課題発見が困難な組織になる事が多いです。
補足 「機関123」の構築方法と役割
ここでいう「機関」というのは、プロジェクトメンバー内で作成することを前提としています。プロジェクトのベクトル内ではなく、外のベクトルからプロジェクトのベクトルを俯瞰する役割をつくる事は必須であり、それをメンバーで構成するという事です。内面から見たプロジェクトと外から見たプロジェクトは見え方が大きく異なる事が多く、より自身のプロジェクトの形を把握できるきっかけになります。
また役割に関しても「俯瞰して見る」点がポイントで、自分が携わっていないプロジェクトとして見る事で、抜本的な問題に気づけたり、小さいポイントでも修正するべきポイントに気づけたりすることが多いです。
日常業務の延長線上では見えてこなかった課題や本質的な障壁などが、こういった機関の動きから発見されます。
最後に
本日は「イノベーションを起こす」というテーマにおいてまとめてみました。中身を見てみれば組織運営や会社経営の方法という題名でも当てはまりそうな内容で、やる事は全部一緒である。というのが現在の結論です。ただどのようなルートで目的地に到着するかは拘りが出せるポイントで、それが「イノベーションを起こす」という過程を踏むだけの気がします。
「つくりこむ」という作業は普通に考えれば「当たり前」の事ではありますが、ここには資源と呼ばれる「ヒト・モノ・カネ・情報」の課題が付きまとい、「やったほうが良いのはわかっているけど出来ない」という事が多いのではないでしょうか?
このリソース不足の課題に対して、各社工夫して解決している組織が結果としてイノベーションを生み出せる組織になれるのではないでしょうか。まだまだ自分も未熟者なので、お互い沢山勉強して、沢山挑戦して、知識も知恵も蓄えていければと思います!それでは、本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました!
Written by 佐々木 太一
1.2020.11.10
2.2021.05.09