【書評】バビロンの大金持ち/ジョージ・サミュエル・クレイソン/楡井浩一訳

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【書評】バビロンの大金持ち/ジョージ・サミュエル・クレイソン

基本情報

書籍紹介

・タイトル:バビロンの大金持ち

・著者  :ジョージ・サミュエル・クレイソン

・出版  :河出文庫

 

目次

・まえがき

・金貨にあこがれた男

・バビロンの大金持ち

・財布を太らせる七つの極意

・幸運の女神に出会うには

・金貨の五法則

・バビロンの金貸し

・バビロンの周壁

・バビロンの駱駝商人

・バビロン遺跡の粘土板

・バビロンでいちばん幸運な男

・バビロンの歴史のあらまし

・訳者あとがき

・解説 Dr.コパ

 

要約

西アジアの砂漠から出土した伝説の都”バビロン”。この都に住むバンジールと旧友コビが日々の労働から抜け出したいと思いを通わせ、同じく旧友で都一番のお金持ちと言われるアルカドにお金を手に入れるための秘訣を聞きに行く場面から本書は始まる。アルカドは労働時代に出会った金貸しの師アルガミシュからの助言を二人に加え一緒に聞きに来た友人全員へ振る舞った。中でも理解ある者はすぐに行動変化を起こし皆、財布が太り富のある生活へ変わっていった。

時が変わり時代はアルカドが70歳の時、バビロンの市民は貧困と化していた。その解決策としてサルゴン王がアルカドへ「富を得るための授業」を市民へ教育する教育者向けに行う事を依頼し、アルカドは快諾。今まで富を集めるために自分が守ってきた習慣を『七つの極意』とし、それらを7日間かけて教育者へ伝達。その後バビロンは市民全体が富を築き、国全体で富を築き上げていった。

アルカドは没前、息子のノマジールへ自分の富を継承するか、神官へ寄付するか、息子に対して10年後の約束をした。それは一袋いっぱいの金貨と「金貨の五法則」を刻んだ粘土板を渡し、ノマジールは家を出た。その後彼が家に戻り父親に語った物語は全て本書に刻まれている。

そこからは槍職人のロダンと旧友で金貸しのマトンの金貸しの極意、人を助けて自分が犠牲になっては本末転倒であるが故、どのように助けたらよいかの金言。老兵バンザールが来る日も来る日も攻め入る敵からの不安に怯える市民をなだめ、どのように国を守ってきたのか、守りの極意。等、他にも多くのバビロンの残る逸話が散りばめられている。

感想

本書を通して(+要約の補足)

まず本書はずっと本棚にあったにも関わらず手を付けていなかったのは、非常に勿体ない事をしたと痛感しています。人生の必読書に一つに追加です。

本書で挙げられている金貨の第五原則は以下の通り、

第一原則 金貨は「堅実な者」のもとへ自ら進んで、しだいに量を増やしながら流れ込む。

第二原則 金貨は「賢明な持ち主」のためならば喜んでこつこつと働く。

第三原則 金貨は「慎重な持ち主」の庇護のもとを離れない。

第四原則 金貨は「軽率な者」の指の間をすり抜ける。

第五原則 金貨は「強欲な者」の手から逃げ去る。

であり、それぞれシンプルながら真理を説いています。それぞれに具体的な事例も掲載されており、今ほどに便利で無かった時代と比べて、今は全て格段に実践がしやすくなっている事を感じざる負えない内容です。特に第三原則の「慎重な持ち主」とは近い存在に「チャンスを逃す者」が存在します。それは慎重すぎる故、投資のチャンスを逃す人の事であり、ここでいう”慎重”とは「有識で信用できるものには投資をする」という意味です。

これまで私はお金にまつわる書籍は何冊も読んできましたが、本書はそれら運用方法の前提にあるお金の真理について述べられており、その上で他の知識を活用するように今までしていれば、自分は更に多くの資産を築きこれから将来更に増やしていけると確信していたに違いがありません。それほど分かりやすく、真理をついている内容と言えます。

心に残った言葉

P28 富とは力だ。富があれば、数多くのことが可能になる。極上の調度品でわが家を飾ることができる。はるかな海へ旅することができる。遠い国々の珍味を口にすることができる。金細工職人や宝石職人の巧んだ品々をあがなうことができる。神々のために巨大な神殿を建てることができる。これらすべてのことを、そして、五感を喜ばせ、魂を満たすようなほかのさまざまなことを、富はかなえてくれるのだ。

長文になりましたが、アルカドがお金を手に入れようと悟ったときの誓い。これが6,000年前に語られていたという点が味わい深い。今の現代も真理の形が変わっただけで結局同じことが言える。

こういったメッセージは特に若い人に伝えていきたい。自分よりも更に若い特に学生時代から真理に気付いて思考していれば、間違いなく資本主義の世界は生きやすくなるはず。自分もまだ可能性しかない年齢であるからこそ、今知ることが出来てとてもありがたい。

 

P54 ”必要な出費”なるものは、抑えようと努めないかぎり、収入に合わせて際限なくふくらんでいくということです。

「収入が少なく貯金が困難だ」という声に対するアルカドの助言。そのあとに7つの極意2つ目の結論がありますが、言わんとしていることはこの一言で理解が出来る。自分自身収入が増えてくるに連れて出費が増えている自覚があるため、見直す機会を頂けた一文として紹介。

 

P70 痩せた財布を肥え太らせる7番めにして最後の極意とは、みずからの能力を開発し、勉励して知恵を積み、仕事の腕に磨きをかけ、おのれを敬えるような行動をとるというものです。

アルカドの準備した七つの極意の最後。前提として「富を得たい」という強い願望がなければこういったことは叶わないが、強い願いに向けて日々精進をすることを続ければ必ずいつか「機会」に恵まれ、それを手中に収める事が出来ると説く。またこの後の章で「優柔不断である事の危険」を説き、真理を更に深める点は実に実用的。

 

P80 私が女神に出会いたいのは、懐に入るお金より出ていくお金のほうが多い賭博台や馬車レース場ではなく、人の営みにもっと値打ちがあり、それがもっと報われてほしい場所です。

アルカドと市民が「”つき”を呼び込む方法」の議論を始めた際の老人への言葉。この老人は前日馬車レースで負けており、アルカドが勝っていることを知っていた。その上でなぜあなたには女神が舞い降りるのかと聞いた際の回答。

おなじ幸運の女神でも本質的にその人が考えている箇所に舞い降りるとしたら、まず自分自身も何のためにつきの機会を使いたいのか、再度考えさせられる言葉であった。

 

P127 金貸しにとって最も安全な借り手とは、貸し付けの希望額より価値の高い財産を所有している者だということだ。

ロダンの金貨50枚の使い道について、金貸しの友マトンが伝えた言葉。今の世の中で行われている金融やり取りが全て抵当の上にあり、かつ「信用取引」と言われている由縁が感じられる。

経営に携わる身としては貸す側の真理を理解するのに必要な観点で、我々が提供できる事業の価値を再度高める必要を感じた。

 

P164 自由の民の魂はこのように、人生を解決すべき難問の連続だととらえ、その難問を解決していく。かたや奴隷の魂は、『しがない奴隷の身で何ができるというのか』と泣き言をくり返すばかりだ。

困難な脱走旅の終盤、ダバジールがアイデンティティを自覚した時の言葉。その後に続く『決意あるところに、道は開ける』という一文との関連が実に強いメッセージを発している。

 

私の行動変化

・給料日、家賃入金日にそれぞれ金額の10%を貯金口座へ移行する。

 → これから収入が増えたり会社を持った時も同様、これ以上の書籍に出会うまではこの習慣を自分の”資本観”として継続して行きます。この結果最終的にどうなるのかは50年後に明らかになると本書には掲載されています。

 ・本書を管轄の管理職と読み合せて意見交換を行う。

 → お金の真理がここまで分かりやすく書かれている本を初めて読んだので、これは大切な部下たちにも間違いなくお勧めできる書籍です。またお金の真理に付随して労働に対する基本的な考え方やアイデンティティなどの人格形成についても言及されている内容のため、どこに価値を感じるのかをヒアリングするだけでも有意義な時間になると感じています。

 

最後に

 最近漫画にもなっている本書、ようやく読むことが出来ました。資本主義を生きる我々にとってお金との上手い付き合い方を学ぶことは必要不可欠。そして今の社会が本書の考え方をベースに回っていることが痛感できる内容になっています。

今このブログを向上心を持って読んで頂いている方々、そういった考え方を部下にも教えたいと考えている方々に、間違いなくお勧めできる内容となっております。ぜひ、お手に取ってみて頂きたいです。それでは、最後までお読み頂き、ありがとうございました!