【社会人必読】名著11選 - ビジネス領域を超えた教養の書

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はじめに

私事ではありますが、本記事の投稿で本ブログ50記事目に到達致しました。先日pv数も初の1,000pvを突破し、読者の皆様には心から感謝しております。今回50投稿記念記事という事で、Twitterのヘッダーにも載せている本を中心に、私の人生を大きく変えた本を記事にしようと思います。そこにはまた思いが詰まっていますので、下記に記載いたします。※最終的に22,000字と長めの記事になっております。

 

 

本記事の内容

「はじめに」に書いた通り、今まで軽く1,000冊以上はビジネス書を読んできているので、その中でも特に大きく意識や行動に影響を与えた書籍をご紹介します。

 

これから読書習慣を付けようとしている方には、特におススメ。最初本を選ぶとき、「どの本から読もうか」必ず悩むと思います。本の虫が必ず通る道です。その時どの本を選んで読むかによって、その先本が好きになるまでの時間が明らかに違います。

 

名著というのはその名の通りこれからずっと読み継がれていく不屈の書です。それだけ人の心を動かし、気付きを与え、行動変化を促進し、社会自体に影響を及ぼしています。そのような偉大なパワーを感じる事は読書にはまる一つのきっかけになると私は考えています。

 

そこで今回紹介する11書は私が心からお勧めできる名著で、どれを読んでも読書の世界に引き込まれることは間違いないです。

 

●これから読書習慣を付けようと思っている方

ご紹介させて頂いている11書も、簡単にカテゴリー分けをさせて頂きました。そのため、ご自身が一番興味のある分野を選んで一冊、Amazon楽天、またはブックオフなどで購入してみて下さい。最初の興味は時間が経つと薄れてしまうので即行動です。それから本の中から出てくるメッセージを感じてみて下さい。きっと、次の本に手が伸びてくると思います。

 

●既に読書習慣がある方

既に読んだことがある本が多いと思います。そのレベルの本を集めていますので、逆に初見のものがあればぜひお手に取って見て頂きたいです。心から、お勧めさせて頂きます。

 

余談

このタイミングで余談です。

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こちらの書籍は私が大学に入塾した際、学校側から頂いた書籍です。ちくま新書福翁自伝は持っていたのですが、こうやって「記念品」として頂けると嬉しいですね。一瞬だけ中身を見た後は太陽光の当たらない本棚の奥に、ひっそりと飾ってあります(笑)

 

このように、「本」というのは「記念品」として贈られることもあります。そしてそれは読書から多くの気付きや教養を得ている先輩方がいるからこそ、その重要性を送るためにも「本」を選んでいると自分は解釈しています。本記事を通して名著が更に多くの人の手に触れる機会を作れたら、とても嬉しいです。

 

【社会人必読】名著11選

セールス部門 ー 営業力・提案力の向上

名著①『ジョブ理論』/クレイトン・M・クリステンセン

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著者について

ハーバード・ビジネス・スクールの教授。Thinkers50の「最も影響力のある経営思想家トップ50」にて、2011年と2013年の二度、第一位に選出されている。またハーバード・ビジネス・レビュー誌のマッキンゼー賞(年間最優秀記事に贈られる賞)を5回受賞。前著に『イノベーションのジレンマ』があり、こちらも世界的に増刷が続いている。

 

本書について

本書はプログレス(進歩)についての書籍である。企業も人も日々進歩し、道中に発生する様々な障壁を解決するために、何か(プロダクトやサービス)を”雇用”する。まずこの考え方が”ジョブ理論”である。本書における最重要価値観は「”マーケティングデータ”と”プロダクト開発/サービス開発”、言い換えると相関関係と因果関係は同じでは無い。」という点。PRやセールスによって販売数を増やす「能動的な」成長は『見かけ上の成長』であり、本質的にプログレスを促す動きは出来ていない。我々は個としてそして企業として何と向き合う必要があるのか、ビジネスを含めた全ての行動に対して、思考の原点を再認識させてくれる書籍である。

 

引用

 P15「しかしそれらはイノベーションでたいせつなことー私がなぜある特定の商品を買うのかという因果関係ーを明らかにはしてくれない。」

序章で出てくる一文。それらとは下記に示す『データ』の事。ここの価値観認識から話が展開していくカギになる文章。「商品の類似性」「顧客の動向」「今の流行」「パフォーマンス属性」等『統計データ』の算出技術は発達していても、『アイデアにおける成功予測の精度』が上がっていない企業が多いと指摘する。

 

P32「彼らの生活に発生した具体的なジョブを、ミルクシェイクを雇用して片付けているのだ。」(中略)P36「”ひとつですべてを満たす”万能の解決策は結果的に何ひとつ満たさないのだ。」

ジョブ理論の文脈を分かりやすく提示してくれている一文。研究チームがファストフード店の「バニラシェイク」の売上を向上させるために研究する文脈で発せられている。バニラシェイクがパパ層に販売数が増えるのは朝と夜、同じ人でも目的(ジョブ)が違う。朝は「退屈な通勤時間に小腹を満たすフレッシュな何か」を、夜は「色々と制限を掛けている子供にいい顔をして優しい父親の気分を味わえる何か」を、雇用する。そこに目を向けていないミルクシェイクは、きっと中身を濃く、種類を増やし、カップを大きくするがそこにジョブは無い。という研究である。実に面白い。

 

P219「あなたの会社のプロダクト/サービスを、片づけるべきジョブと同義になるまで結びつけることができれば、誤った理由で顧客に雇用されることはなくなる。

そのようなブランドを、書内では「パーパス(目的)ブランド」と呼び、ウーバー、ターボタックス、ディズニー、メイヨー・クリニック、オンスター、ハーバード、マッチ・ドットコム、オープンテーブル、リンクトインなどが挙げられている。ここの主張は真新しいというものでは無いが、改めて理論として、言語化して説明するときに非常に役立った。

 

P293「見かけ上の成長は、中核のジョブを丁寧に解決していく状態とは正反対に位置する。」

能動的データと受動的データの誤謬(ごびゅう)の文脈にある一文。顧客に売るプロダクトの数を増やす、解決するジョブの種類を広げる、等、成長を勢いづけようとする動きの事の事を言っている。理想形のイメージは明確にできるが、経営に携わる私にとってあくまでも「理想」であり、現実にしていくには株主などへの影響を考える必要があると率直に感じた。

 

  

名著②『営業の神様』/ジョー・ジラード with トニー・ギブス

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著者について

1928年、イタリアの貧しい移民家に生まれ、8歳から靴磨きの仕事を始める。その後新聞配達、皿洗い、ストーブの組み立て、建築等40余りの職を転々とした後、35歳でシボレー販売店でセールスマンとなる。そこから3年で自動車販売台数米国トップにのぼりつめ、4年目以降引退までの12年間「世界No,1のセールスマン」としてギネスブックに認定された(現在も破られていない)。引退後はモチベーショナル・スピーカーとして、ハーバード・ビジネス・スクール、フォード・モーターゼネラル・エレクトリックゼネラルモーターズヒューレット・パッカードIBMなどの企業で講演を行っている。(販売実績:1日平均販売台数6台、1日最高販売台数18台、1ヵ月販売最高台数74台、1年最高販売台数425台、15年間合計販売台数13,001台)

 

本書について

本書は人生における最も大きな目標や天望を実現するために必要な人間としての土台を築くための書である。ジョー・ジラートが健康と幸せと成功を掴むために実践した『十三のルール』を提示し、それを続けていく事を説いている。ルールは”準備””現場””クロージング””充電”の4つに分かれており、失敗の原因はよく考えて判断することが必要な状況で、適切な対応の仕方を知らないから失敗するとした上で、それぞれの局面において適切な対応の仕方を紹介している。そしてすべてのルールは”規律”と”反復”が前提条件になっており、かつ、「自己責任」を問う投げかけが多く扱われていることから、著者にとって成功のカギは「人生に向き合うスタンスの形成」という点がヒシヒシと伝わってくる内容となっている。

 

引用

P14「ジョー・ジラードの成功の”秘密”を知りたいと思ってこの本を読んでいるのなら、ただちに忘れろ。今すぐ本を置くことだ。いいことを教えよう。秘密などない。」(中略)P15「はじめから言っているように、近道も奇策もない。」

「はじめに」にある一文。本を読む上でのスタンスがしっかり入る導入になっている。このような内容を22ページを使っている点から大前提著者が最も大切にした考え方である事は間違いない。

 

P45「健康でスマートな人はラッキーなのではない。自分の体調や外見に気を使うことを選んだのだ。」

第一のルール「健康のための選択をする」の文脈にある一文。”健康であること”はどの書籍にも載っているが、では実際自分が理想的な生活をしているかを考えた時自信をもって「YES」と言える人がどれほどいるか。ジョー・ジラーとが1年かけて約20キロの減量に成功し、それから引退まで常に体重を維持し続けた方法が掲載されている。ただ皆様の予想通り、単純に食事制限をし、毎日決まった運動を続けただけである。

 

P123「あなたが疲れようが知ったことではないが、犠牲になるのはあなたの家族なのだ。」

万全な状態で職場に来ないビジネスパーソンに対して向けられた言葉。これが準備の文脈で扱われるところが非常に共感できる。数時間前に終わらせるべきだった、そして終わらせることのできた仕事のせいで、家族に夜を一人で過ごさせるのかという主張は、自分にも強く突き刺さった。

 

  

名著③『影響力の武器』/ロバート・B・チャルディーニ

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著者について

アリゾナ州立大学審理学部名誉教授。米国を代表する社会心理学者の一人であり、社会的影響過程、援助行動、社会的規範などに関する数多くの業績で学界をリードしてきた。ドイツ系の移民が多く住む田園地帯ミルウォーキーに生まれた背景から、研究分野は特に社会的影響力の仕組みを深く研究している。

 

本書について

元々本書は「防衛法」を一般人に共有するために書かれている。本書の構成も全部で六つの原理原則(返報性、コミットメントと一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性)から成り立ち、①原則の説明、②具体的事象、③損得の解説、④防衛法という順で構成されている。これらは主に「承諾の原理」を紐解いており、日常生活で出会う勧誘活動や営業、友人関係においての誘導等大小問わず様々な状況で発生している影響力を具体例を用いて分かりやすく説明している。

 

引用

P69「そのように再定義することができれば、受け取った好意や譲歩を返さなければという気持ちになることはないだろう。」

第一の原理返報性の法則の防衛法紹介での一文。何かプレゼントや試供品をもらった際「何かを返さないと」と相手に思わせて承諾へ促す手口の防衛法になっている。最初の行為や譲歩を「トリックだと再定義する」という点が言葉を選ばない学者を感じられ、とても好感を持てる。

 

P134「自分はそれに関わりたくないということを要請者自身に対して説明するのが一番良い。」

第二の原理コミットメントと一貫性の防衛法紹介での一文。魅力的な若い女性が男性に勧誘をし、虚栄心で発した言葉を撤回できずに契約へ誘導されてしまった際に切り札を紹介している。(ここで紹介されている話の展開は非常に面白い。)「話した内容」と「行われた誘導」を区別して考え、非常に魅力的な話ではあるが、その商品購入には私は興味がない事をはっきり伝える事で誘導から逃れられるとしている。様々なところで活用できそうな防衛法である。

 

P322「希少性の圧力に対して、心を鬼にして、理性で対抗するのは困難である。それが、思考を困難にしてしまうような情動を引き起こす性質を持っているからである。」

第六の原理希少性の防衛法紹介での一文。ここの防衛は著者が述べるように非常に高度であり、希少性に影響されて承諾してしまう人は分かっていても多いと説いている。特に希少性は「時間が経つにつれて更に高まる」という特徴がある故、慣れていても防衛が難しい。そんな希少性に対する防衛法は、ぜひ、本書を手にして読んで頂きたい部分です。

 

 

 人材マネジメント部門 ー 計画力・教育力の向上

名著④『思考は現実化する』/ナポレオン・ヒル

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著者について

元々は新聞記者。1908年、当時73歳だった世界の鉄鋼王にして大富豪のアンドリュー・カーネギーの成功の秘訣を学ぶ。哲学への理解を察したカーネギーから時間をかけてこの哲学を研究していく決意があるかを問われ承諾してから始まったのが成功哲学の研究である。それから20年後の1928年に初期プログラムが完成、52年後の1960年、遂にPMAプログラムが完成する。100年以上が経過した現在も、ナポレオン・ヒル・プログラムは成功哲学の研究を続けている。(1970年87歳で没)

 

本書について

本書は、失敗の恐怖に取りつかれている人々に、成功への確信を与える事を目的に著されている。アンドリュー・カーネギーから「人生の敗北者で終わってしまうかもしれない多くの人々を助けたい」という思いを継承して作られた本書は、求・思・願・信・復・専・想・計・決・耐・協・動・潜・器・感・転・敗・悲・恐から構成されている。これらの全てが順序立ててある訳でなく、それぞれの成功哲学を用いて成功した先人たちが数多く紹介されており、我々読者は「自分の分野に何が必要か」を自分で探すために読み進める必要がある。

 

引用

P101「人間の最大の欠点は、「不可能」という言葉に慣れすぎていることである。」

私事ですが、この言葉の章「思考は現実化しようとする衝動を秘めている」が最も学ぶ点が多かった章です。金脈を掘り当てる直前で辞めてしまったセールスマン、大人からどうしても50セントをもらいたかった少女の忍耐等、自分が何か目的をもって始めたことはいかにしてでも手に入れようと決意させてくれました。元々不可能という言葉は脳裏に無い性格でしたが、他にも成功者の実例を見るに私の中に「不可能」の文字があったことを自覚し、自身の成功哲学が生まれたきっかけになった言葉です。

 

P426「私は一年以上にわたって、毎晩この「目に見えない相談役」と想像上の会議を開いた。

自身が尊敬している、また吸収したい思考を持っている対象者を寝る前に思い浮かべ、自分が会議室のファシリテーターを行いながら意見をまとめていく事を脳内で行っていたという紹介での一文。それぞれの個性を吸収し、自己開発し、性格の改善に繋がったと著者は語っている。ちなみにここで出てきた九名は、エマースン、トーマス・ペイン、エジソンダーウィンリンカーン、バーバンク、ナポレオン、フォード、アンドリュー・カーネギーと言う点、圧巻させられました。

  

 

名著⑤『人を動かす』/D・カーネギー

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著者について

1888年、米国ミズーリ州の農家に生まれた著者は、大学卒業後は雑誌記者、俳優、セールスパーソンなどの職業を経た後、YMCA弁論術担当となった。やがてD・カーネギー研究所を設立し、人間関係の先覚者として名声を博した。(1955年、66歳にて死去)

 

本書について

言わずも知れた名著。本書は元々、カーネギーが研究所の所長として、社員教育や顧問として企業に参画する際、教育資料として作成したカードが起源になっている。当初人間関係について実際に役立つ書物が一冊も出版されていないことを感じた著者は、最初はカード、それがパンフレットとなり、15年かけて一冊の本となったのが本書である。本書は大きく5つのパートに分かれており、人を動かす原則、人に好かれる原則、人を説得する原則、人を変える原則、幸福な家庭を作る原則である。主に本書で主張されているのは「人を動かすには”自尊心”か”虚栄心”に働きかける事」という軸があり、それぞれの原則が具体例を添えて紹介されている。

 

引用

P31「イギリスの偉大な文学者ドクター・ジョンソンの言によるとー「神様でさえ、人を裁くには、その人の死後までお待ちになる」まして、我々が、それまで待てないはずはない。」

犯罪を犯した人物でさえ、それぞれに理由がありそれの理解に努める必要があるという章。当然倫理観や道徳はド返しした上で、犯罪を犯した当人が誰に口を割ってどのように行動したかという結果が物語っている。一緒に添えられている言葉は「すべてを知れば、すべてを許すことになる。」という文であり、我々が第一に「相手を理解する姿勢を持つこと」が何より大切である事を説いている。

 

P135「相手の関心を見抜き、それを話題にするやり方は、結局、双方の利益になる。」

本書での口調は常に他人軸。恐怖による監視下のコントロールでは無く、本人の意思による継続的なコントロールが目的となっており普段のコミュニケーションで使える本質的提案が多い。ただあくまで人間関係上の話であり、これをビジネスに直接置き換えるという点においては課題も存在する。

 

P345「日本で一番印象の深かったものは?」という質問に「それは日本人です」と言い残して船に乗った。

これは単純に私が好きな一文。訳者のあとがきで記されている。著者が日本へ旅行で来た際、最後に言い残した言葉として紹介されている。自分自身は人間関係への興味で無いにしろ、自分の得たい成果にそこまで貪欲になれているのか?と考えさせられた一文でした。

 

  

名著⑥『7つの習慣』/スティーブン・R・コヴィー

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著者について

タイム誌が選ぶ世界で最も影響力のあるアメリカ人25人の一人に選ばれる。経営者の父の元に生まれ、学習の途中で「ビジネス」より「教育」や「リーダー育成」の仕事に面白みを覚える。ユタ大学を卒業後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得、その中で「組織で働く人間」に強く興味を持つことになる。その後ブリガムヤング大学で経営学を教え、コンサルティング、アドバイス、トレーニングなどの仕事にも携わる。その間に「バランスの取れた一連の原則を順序だて、リーダーシップとマネジメントの総合開発プログラム」の開発に関心を持つ。(これがやがて『7つの習慣』になる)

 

本書について

『7つの習慣』は「”ルーツ”を示し、”翼”を授けてくれる」書籍です。物事の根底にある原理原則を知り、常識に捕らわれず新しい世界を作るための挑戦を後押ししてくれます。書籍内にも「子供たちに後々まで残してやれるものは二つしかない。一つは”ルーツ”であり、もう一つは”翼”である」という言葉が紹介されています。

 

引用

本書については、以下の記事で更に深く紹介をさせて頂いていますので、内容にご興味を持って頂いた方は、こちらのリンクより先にお進みください。 

lifehack-sasaki.com

 

  

人間性部門 ー 魅力・啓発力の向上

名著⑦『夜と霧』/V・E・フランクル

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著者について

1,905年ウィーンに生まれ、ウィーン大学を卒業。在学中よりアドラーフロイトに師事し、精神医学を学ぶ。第二次世界大戦中、ナチスにより強制収容所に送られた体験を本書に記す。1945年終戦後、1955年からウィーン大学教授となる。人間が存在することの意味への意思を重視し、心理療法に活かすという、実在分析やロゴテラピーと称される独自の理論を展開する。

 

本書について

著者の言葉を借りると、本書は報告書では無く体験記である。偉大な英雄や勇敢な戦士の苦悩や死ではなく、おびただしい大衆の「小さな」犠牲や「小さな」死が語られている。収容所へ送られる列車の中から、飢えや暴力の世界で起きた様々な葛藤や言動、極限状態から生まれた著者の心理的変化が生々しく紹介されている。本書の最初、著者が身分を明かした際に受けた暴力で「全ての過去を抹消した」という心理変化のインパクトから本書に引き込まれ、一度で読み切れるほどの世界観を持っている書籍である。

 

引用

P25「やけくそのユーモアのほかにもうひとつ、わたしたちの心を占めた感情があった。好奇心だ。」

収容所へ送られた当日、全ての希望が潰えた際に著者が感じた心理変化が表されています。全ての服を剥ぎ、毛を剃られた体にシャワーが降り注ぐ「喜び」を感じ、お互いを侮辱し合うユーモア、そして次に折れるのは頭蓋骨か、他の骨かと言った「好奇心」が湧いてきたと言う。平穏な生活をしている私にしたら恐怖でしかない感情ではあるが、こういった究極状態の人間心理を経験している著者の意見は貴重以上の何物でもない。

 

P71「ユーモアとは、知られているように、ほんの数秒間でも、周囲から距離をとり、状況に打ちひしがれないために、人間という存在にそなわっているなにかなのだ。」

中盤でも”ユーモア”の話題が出てくる。ここにあるように幾度となく、医者という仕事柄徐々に役割を与えられていく著者にも違う種類の恐怖が降り注ぐ場面での言葉です。毎日工事現場で働かされる仲間たちと「1日1つ、収容所を出た後にする夢の話」を笑い話として持ってくるというルールは、今の生活をしている私たちにとって心に刺さる風景、思いが込められているのでは無いでしょうか。

 

P145「わたしたちは、おそらくこれまでどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りの言葉を口にする存在でもあるのだ。」

145ページ、私はこの文章のページを既に記憶しています。何度も読み、何度も目を止めた文章だからです。本書で最も有名なセリフの一つが含まれる文章であり、本書の最重要メッセージです。このメッセージだけでも大きなインパクトがある文章ですが、本書の全体感、ストーリーを感じた上で再度見直して頂きたい。きっと、全く違った深みと意味を感じ取れると思います。

 

  

名著⑧『利己的な遺伝子』/リチャード・ドーキンス

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著者について

1941年ナイロビに生まれ、オックスフォード大学でノーベル賞を受賞した動物行動学者ニコ・ティンバーゲンに師事。その後カリフォルニア大学バークレー校を経て、オックスフォード大学で講師を務めた。その後の社会生物学論争や進化論争においては常に中心的な位置から刺激的かつ先導的な発言をしており、欧米で最も人気の高い生物学者の一人でもある。マイケル・ファラデー章なども多数受賞し、2017年には、英国王立協会による一般投票「英国史上最も影響量のある科学書」の第一位に選ばれた。

 

本書について

私事ではあるが、私が科学書や論文を読み漁るきっかけになった書籍である。前書きにある「題名決定までの経緯」や「本書を読んで”危機的状況”に追いやられた読者」の紹介等、内容に入る前に引き込まれる部分が多い。また第一章の始まりは『人はなぜいるのか』だ。そこから人はヴィークル(乗り物)であり、動物もまたヴィークル、生きているのは遺伝子であるという前提条件を提示する。現存する個体はなぜ現在の動きをするのか「なぜ生き延びようとし、」「なぜ恋をし、」「なぜ争う」のか。それは自らのコピーを増やす事を最優先にする遺伝子の動きであり、その遺伝子プールである現存する個体たちはいずれどこに向かうのか。生物観を根本から覆した本書の主張は自らの存在意義にまで大きなメッセージを与えてくれる。また本書は「倫理観や道徳心」と言った人間的な精神を排除した上での主張も散見されるため、読む人によっては勘違いを起こしたり、不道徳な使命感を感じるという報告がある点も理解できる。

 

引用

P164「攻撃を理解するには、個々の動物同士を独立した利己的な機会と見なすと都合が良かった。しかしこのモデルは、関係する個体どうしが、兄弟姉妹、いとこどうし、親子といった近親者の場合にはあてはめられない。なぜなら、近親個体どうしが彼らの遺伝子のかなりの部分を共有しているからだ。それゆえ、個々の利己的な遺伝子の忠誠心は、別々の体に分配されている。」

遺伝子同士の攻撃についてのまとめからの一文。個々のDNAは個々のDNAの片を含む全コピーであり、それらDNAを遺伝子プール内でいかに多く増やすかを目的としていると説く。つまり遺伝子同士は自分のコピーを援助する能力を持ち、家族、国など、自分の遺伝子が含まれている量が多い個体を援助する傾向にある。非常にとっつきにくい内容ではあるが、理解をすると非常に興味深くなる。全ての項が、「ある矛盾点について、次の論点から考察する」と進むことが、また本書を面白くさせているポイントだと感じます。

 

P287「ゴラクチョウの雌が引く手あまたなのは、卵子のほうが精子より希少な資源だからだ。現代の西欧人はいったいどうなっているのか。ここでは実際に、男性が引っ張りだこ側の性、売り手市場の性、すなわち慎重に配偶者を選べる性になってしまったのか。もしそうだとするなら、その理由はいったい何なのか。」

まずゴラクチョウと人間が”個体”として同じように分類されている点が興味深い。遺伝子の乗り物として個体が存在する前提の本書は、人間も一つの乗り物に過ぎない。またこの章では遺伝子の存在目的と性の関係について多く語られており、倫理観や道徳心を考慮しない主張が多い項でもある。それぞれの解釈が分かれる場所であり、真剣に議論をする価値のある主張だと感じます。

 

P448「この地球でお馴染みのような個体の体の存在は不可欠なものではなかった。宇宙のどんな場所であれ、生命が生じるために存在しなければならなかった唯一の実態は、・・・」

本書の締めの一文。ここは最後の結論になるため、ぜひ本書を手に取ってから味わって頂きたい。この一文を先に知るより、他の章の主張や遺伝子の特性、それによる矛盾や各結論、全てを読んだ上で結論を知る方が理解が深まると思います。「難しい本を読みたい」「考えさせられる本を読みたい」と言われた際、真っ先に友人へ紹介する書籍です。

 

  

名著⑨『星の王子さま』/サン=テグジュペリ

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著者について

名門貴族の子弟としてフランス・リヨンに生まれる。海軍兵学校の受験に失敗後、兵役で航空隊に入る。除隊後、航空会社の路線パイロットとなり、多くの冒険を経験した。その後様々な形で飛びながら、1929年からいくつかの小説を発表、行動主義文学の作家として活躍した。その後第二次世界大戦時、偵察機の搭乗員としてコルシカ島の基地を出発したまま、帰還していない。

 

本書について

今回挙げさせて頂く11冊のうち、唯一の小説。ある星の王子さまが自分の星に割いた一凛のバラを残して旅に出る。道中様々な王様に合う中で一人の地理学者から地球を紹介され、そこでパイロットの「ボク」と出会う。地球におりて自分の星に無かった沢山の高い山や、5,000輪にも及ぶバラの農園と出会う中で王子さまは星に残してきた大切な存在について気付いてきます。その後王子さまが星に戻る決断とするまでの過程と、共に過ごすボクの心理変化や言動に、我々「大人」の忘れていた感情を思い出させるものが沢山含まれています。

 

引用

P70「火山にとっても花にとっても、ぼくが持ち主で、役に立っていた。でもあなたは、星の役には立っていない・・・」

実業家に対して王子さまが発した言葉。所有、権威を欲している大人に対して、本質的な質問を投げかけている。どの事業もそれを通して求められている事を正しく認識し、自分は貢献できているのか、再度考えさせられる言葉だと感じた。

 

P103「人間たちはもう時間がなくなりすぎていて、ほんとうには、なにも知ることができていないでいる。なにもかもができあがった品を、店で買う。でも友だちを売ってる店なんてないから、人間たちにはもう友達がいない。」

大切なことに気付いていない王子さまに対してキツネが発した言葉。そこから「どうすれば友達になれるのか」を問いた王子さまにキツネは答えを提供していく。

 

P108「じゃあ秘密を教えるよ。とてもかんたんなことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない。」

もっとも有名な言葉の一つ。キツネが王子さまに教えてくれた秘密の言葉。1輪のバラと5,000本のバラの違いに気付けなかった王子さまがバラと紡いだ絆について思い出していく。読者である私も様々な事に投影しながら本書を読んだが、とても考えさせられる一文であった。

 

P118「人間たちって」小さな王子さまが言った。「特急列車に乗っているのに、なにをさがしているのかもうわからないんだね。だからせかせか動いたり、同じところをぐるぐるまわったり・・・」

深く考えさせられる王子さまの言葉。この一文を、皆様はどのように解釈しますか?ストーリー全体を一読した後、また本記事の質問に目を向けて頂いて、自分の人生が更に良くなる動きをお互いに取り入れたいですね。

 

  

名著中の名著部門 ー 私の人生を変えた2冊

名著⑩『思考の整理学』/外山滋比古(とやましげひこ)

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著者について

1923年生まれ。東京文理科大学英文科卒業。お茶の水女子大学名誉教授。専攻の英文学に始まり、テクスト、レトリック、読書、読書論、エディターシップ、思考、日本語論の分野で独創的な仕事を続けている。

 

本書について

最後の部門はほぼ私の感想になります。本書は私に読書の楽しさを気付かせてくれた、初めて読了した書籍です。社会の厳しさを知った私は「学ぶ必要性」について内発的に気付き、本書を手にしました。そこでは現在の学校教育に関する課題から始まり、思考を深めるための工夫、睡眠の効果などが載っていました。ただ私の気を引いた一番のポイントが目次で、「グライダー」「朝飯前」「カクテル」「スクラップ」「すてる」「しゃべる」等、その章のテーマによって題名が付けられていました。それまで読書をしてこなかった私は、題名と内容がリンクした時の爽快感を初めて本書で覚えたのが感覚として残っています。それから多読をするようになり、今に至っております。

 

引用

P11「学校はグライダー人間の訓練所である。」

遠くから見たら同じなグライダーと飛行機。音もたてずに飛ぶグライダーはむしろ美しい。ただ、自らの力で飛ぶことは出来ないと表現している。最も頭が成長する幼少期にグライダー教育をされてしまっては悪影響があるというストレートな主張は、読書を始めたての自分にはとても新鮮で、こういう事をいう大人に出会って見たかったと強く感じたのを覚えています。

 

P133「たえず、在庫の知識を再点検して、すこしずつ慎重に、臨時的なものをすてて行く。(中略)これをもっともはっきり示すのが、蔵書の処分であろう。すてるのではないが、本を手放すのがいかに難しいか。試した人でないとわからない。ただ集めて量が多いと言うだけで喜んではいけない。」

実際に私が習慣にしている事。この一文に出会ってから何度も蔵書は整理している。その中で「臨時的」なものが排除され、不滅的な真理が少しずつ残ってきているという感覚がある。まだこれから大切な本を読み込んでいく中で、更にブラッシュアップを掛けていける事が楽しみでしょうがない。

 

  

名著⑪『現代語訳 論語』/齋藤孝=訳

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著者について

著したのは孔子本人ではなく、直接の弟子、また弟子の弟子が記録したものと言われている。訳したのは明治大学文学部教授。私は様々な種類の論語を読んできましたが、齋藤孝先生が訳した論語が最も分かりやすく、自分にも紹介する人にも、一番行動へ移しやすい書籍だと感じています。

 

本書について

おそらく、私は本当に100周くらい読んでいる可能性があります。写真の本は常に携帯用として鞄に入れているもので、通勤時間や隙間時間にすぐに取り出せる位置にいつもしまってあります。本書は孔子が弟子に伝えた言葉を、弟子がまとめて作られた書籍です。論語性善説の背景が強く反映されている反面、キリスト教と違って規律を重んじる思考が混ざっているため、「●●は良くない」という表現が多いのが特徴です。以下に紹介する言葉をご覧になって頂いて、気になる部分があればぜひお手に取って見てください。ここでは表現しきれない孔子のメッセージが沢山込められています。

 

引用

P11「学び続け、つねに復習する。そうすれば知識が身につき、いつでも活用できる。実にうれしいことではないか。友人が遠くから自分を思い出して訪ねてきてくれる。実に楽しいことではないか。世の中の人が自分のことをわかってくれず評価してくれなくても、怒ったりうらんだりしない。それでこそ君子ではないか。」

一番最初の言葉です。 最も好きな言葉の一つでもあります。論語から上げさせて頂く文章は、皆様がどのように解釈されるかが凄く楽しみなので、敢えてコメントは少なめにさせて頂きます。

 

P21「私は十五歳で学問に志し、三十にして独り立ちした。四十になって迷わなくなり、五十にして天命を知った。六十になり人の言葉を素直に聞けるようになり、七十になって思ったことを自由にやっても道を外すことはなくなった。」

 

P47「人の過ちは、人物の種類によって異なる。過ちの種類を見れば、その人に<仁>があるかないかは、わかる。」

 

P52「心を引きしめていて失敗する人は、ほとんどいない。」

 

P98「君子は心が安らかでのびのびしているが、小人はいつでもくよくよ思い悩んでいる。」

 

P276「ところで、『論語』を「精神の基準」とするときに、いちばん核になる考え方というのはなんでしょうか?私は、それは、「学ぶことを中心として人生を作り上げていること」だと思います。

最後は訳者の言葉です。本書を読み続けると本からのメッセージが間違いなく読者に届きます、私が経験したように。まだお読みになった事が無い方は、一度時間を取ってお読みいただく事をお勧めします。

 

  

最後に

今回50記事記念という事で私が最も大切にしている習慣の一つ「読書」。これを始めるきっかけを作れればという思いが最上に有り、記事を書かせて頂きました。私が大切にしている名著をまとめながら感じたのは、まだまだ体現できていない自分がいる事です。引用で挙げさせて頂いた文章も、元々心に刻んでいるものもあれば、逆に今回の再読で再発見した一文なども紹介しています。このように名著は何度読んでも気付きがあり、自分の成長に合わせて新たな言葉でメッセージを送ってくれるものです。皆様も読書を通じて新たな気付きを手に取り、学ぶ楽しさをお互いに感じていけたらそれ以上嬉しい事はありません。

 

それでは、まだ50記事ではございますが、ここから100、200、1,000記事と、やると決めたことは続けていこうと思いますので、今後とも何卒宜しくお願います。長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。